イチゴ(宝交早生)の育て方(ランナーの処理と人工受粉)
前回のお世話、不織布を使った「イチゴの枕作り」から約40日が経過。今回のイチゴの栽培管理は、「ランナーの処理と人工受粉について」です。
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イチゴのランナーをとる(処理の仕方)
畑で露地栽培しているイチゴは、収穫時期が近づいてきました。露地のイチゴは、4月終盤~5月上旬頃が収穫開始時期ですが、その少し前、4月上旬~中旬あたりになると、「ランナー」が伸びてきます。(ランナー=イチゴのクラウン部分から出てくるツルのような、茎のようなもの。)
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ランナーとは、「ほふく茎」とか「走出枝(そうしゅつし)」とも言われるものです。このランナーの先が地面に付くと、根が出て土に根付き、新しいイチゴの株(子株)ができます。
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根付いたイチゴの子株を放置していると、そこからまたランナーが出て、イチゴの「孫株」ができます。という感じで、イチゴはランナーを伸ばして、子孫をどんどん増やしていきます。
市販のイチゴの苗も、この仕組みを利用して苗作りをしています。なので、植え付け時期に出回るイチゴ苗には、親株から切り離されたランナーが付いていることが多いです。
翌年に育てるイチゴの苗を取りたい場合は、ランナーを残しておくのですが、実の収穫時期に出てくるランナーは取ってしまいます。(いちごの花や実が付く時期にランナーがあると、ランナーの方に栄養が取られてしまい、株が消耗する。)

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ランナーを切るタイミングは、出てきたらとにかく取る。ランナーの切り方、処理の仕方ですが、それは特にありません。ハサミで切ってもいいですし、根元から手で引き抜いてもOK。ランナーが伸びすぎると、花や実にとっても良くないので、早めに処理しましょう。
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イチゴの受粉の仕方(人工受粉のやり方)
次はイチゴの受粉です。露地栽培のイチゴなので、風とか虫に任せる自然受粉でよさそうな気もしますが、人工受粉もやってみます。(収穫時期に形の整ったイチゴを収穫したいなら、人工受粉させた方が確実です。)
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
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受粉の前に、イチゴの花の花粉を確認してみましょう。黒や紺の布などで雄しべをそっと触ってみます。それで花粉が付けば、その花は受粉可能ということです。
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いちごの人工受粉には、筆(毛先がやわらかいもの)を使います。受粉の仕方は超簡単。筆で花の中心を優しくなでるだけ。これで、おしべの花粉がめしべに付き、イチゴが受粉します。筆以外に、ハケや化粧ブラシ、綿棒、凡天(耳かきの先についてる綿みたいなの)なども使えます。
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いちごの花粉は、開花から数日間は出ているので、同じ花を3日くらい続けてなでてあげましょう。すると、受粉成功の確率が上がります。
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これで受粉が成功していれば、こんな感じでイチゴの実が膨らんできます。収穫時期が待ち遠しいですね。今回のお世話、イチゴのランナー処理と人工受粉は、これで完了です。
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露地栽培のいちごの追加情報(イチゴの育て方についての関連情報)
いちご栽培のマルチング材は何がいいですか?(イチゴのマルチ栽培)
露地栽培のいちごなら、手軽に入手できるマルチシートがおすすめです。黒のマルチシート(ポリマルチ)であれば、ホームセンターや園芸店で入手できます。プランター栽培のいちごなら、藁やヤシ殻繊維という選択肢もあります。
マルチをしておくと、「地温が保てる」とか、「雑草が生えない」とか、「土や肥料の流亡を抑える」など、様々な利点があります。いちごの栽培期間は長い(10月中旬~翌年4月下旬)ので、土を良い状態で保つためにも、マルチはしておいた方がいいと思います。
いちご栽培のマルチングはいつまで?
露地栽培のいちごは、土作りから栽培が終了するまで、基本的にはずっとマルチングしたままです。例外的に、冬越しする時期(11月中旬頃から2月上旬頃)は、マルチをはがすことがあります。マルチをはがすのは、いちごを寒さにさらすためです。(いちごは冬の寒さに一定期間さらされると、花を咲かせるスイッチが入る。)
2月上旬以降は、収穫に向けてイチゴの成長を促進していく必要があるので、マルチ栽培を再開します。露地栽培のいちごは1月に追肥を行うのですが、その追肥の効果が、この頃から出てきます。(1ヶ月前に入れた肥料が、じわじわ効いてくる。)
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