土の消毒・リセット(太陽熱消毒)

今回は、土のリセット。太陽熱を利用した土壌消毒を行います。(春夏野菜が終わって、秋冬の栽培までまだ少し時間があるので、その間に病気や害虫、雑草の種などをリセットします。)

土の消毒

まず、約60cm×120cmの畝に、牛糞2リットル、油かす100ccをまき、よく耕します。肥料を入れるのは、土中の微生物を増やすためです。(微生物が増えると、土の中の酸素が消費され、害虫が酸欠で死滅する。)

牛糞と油かす
畝は60cm×120cmの大きさ
まいた肥料を土と混ぜる

耕したら、軽く畝を整え、その後、ジョウロ3杯分の水をまきます。(大量の水をまくことで、熱伝導性が高まり、土の奥まで熱が伝わる。土の深いところまで高温になるという効果が期待できるので、土の消毒効果もアップする。)

散った土を畝の方へ戻す
畝の形を整える
ジョウロで水をまく

最後に透明マルチを張れば、土の消毒作業完了です。マルチが透明なのは、その方が温度が高くなるからです。(ビニールハウスや温室と同じ原理。太陽光を通す透明なビニールの方が、中の温度が上がる。)

期間としては、3週間から1ヶ月くらい続ければ、高い効果が出るそうです。畝にまいた大量の水と、透明マルチで、土の中が蒸し焼き状態になり、病気の菌や雑草の種、害虫などが死滅します。

透明マルチ
畝に透明マルチを張る
裾を土で覆う
畝を密閉すると、消毒効果が高まる
太陽熱消毒完了

土の太陽熱消毒の追加情報(土の消毒についての関連情報)

土の太陽熱消毒は、熱で害虫とか、病気の菌を殺菌・消毒することですよね? 熱で消毒するっていうことは、病害虫だけでなく、有益な微生物も一緒に殺菌してしまうような気がするんですが?

そうですね。土の太陽熱消毒は、悪い菌だけ殺菌して、良い菌だけ残そうというふうに、「ふるい」にかけられるわけではないんですね。とにかく、一度「リセットする」という感じです。(良い菌、悪い菌含めて、一度全部死滅させる。)

一旦、土を消毒してリセットし、「また次の、秋冬の新しい野菜を育てる時にイチからやりましょう。」ということですね?

そういうことです。

土の太陽熱消毒をしたからといって、有益な微生物が増えるというわけではないのですか?

そういうわけではないです。土の消毒に関連したお話をもう少しさせていただくと、例えば、里芋。里芋は、5年サイクル(栽培しない期間が4年間必要)で栽培します。

結構長いですね。

なぜ栽培サイクルが長いかというと、土の中の菌の問題ですね。

連作すると、連作障害が出る菌が長く残ってるから、その分、栽培しない期間も長くする必要があるってことですか?

そうです。その栽培してない期間の間に、良い菌と悪い菌の戦いがあって、その結果、土が消毒される(リセットされる)ということなんです。

なるほど。

例えば、里芋の場合、その5年サイクルの栽培期間を、土の太陽熱消毒で1ヶ月くらいに短くできます。

菌のこともそうですけど、害虫のことも考えると、やっぱり土を太陽熱消毒した方が、その後のリスクは少なくて済むということですか?

その通りです。家庭菜園をやっていると、一つの野菜の栽培が終われば、すぐ次の野菜を植えたいという心理が働くと思います。

確かに、あいてる畝があると、なんか植えたくなっちゃいます。

でも、それよりは、肥料を入れて、耕して、土に空気を入れる(=土を休ませて菌を増やす)方が、畑の土にとってはプラスになります。

土が休む期間(土の消毒期間)を一定期間設けることで、結果として、その後に栽培する野菜の成長も良くなるということですか?

「野菜の株が強くなる」ということはあると思います。野菜の株自身が強くなるということは、収穫量も多くなりますし、病気に強くなる、害虫に食われにくくなるという効果も期待できます。

へ~、そうなんですね。

病気とか害虫に強くなるっていうことは、「野菜を世話する手間」も少なくなるという、「良い循環」になっていくということなんです。

栽培の手間が減るのはありがたいですね。

野菜の株が元気で、勝手に育ってくれれば、私たちは野菜の成長を見守るだけでいいんです。野菜のお世話に関しては、種類によってお世話のタイミングが違うので、一概には言えませんが。

お世話のタイミング(=適切な時期に適切な世話をする)って大事なんですね。

そうすると、手間がかからなくて、野菜がよく育つというわけです。

なるほど。わかりました。ありがとうございました。

動画版はこちら

土の消毒・リセット(太陽熱消毒)- YouTube