畑や畝、土の作り方(家庭菜園初心者でもできる)

土を耕して畝を作る

有機栽培による野菜の育て方。初回は、畑と土、畝の作り方からです。畑とか、土の作り方というのは、育てる野菜が変わっても、そんなに大きく変わりません。(肥料に関しては、野菜によって多少変わる。)

なので、この畑の作り方、畝の立て方を一通り覚えておくと、いろんな野菜に応用がききます。「家の庭に畑を作る方法」としても役立つと思うので、一読いただければと思います。私のような、「農具すら使ったことのない初心者」でも出来たので、家庭菜園初心者の方はチャレンジしてみてください。

今回は1.6m×3mの区画に畝を3つ(120cm×60cmの畝を3つ)作ります。

畑の区画は1.6m×3mの大きさ

畝3つ分は結構大きいので、庭で畑を作る場合は、まずは畝一つ分(120×60cm)から始めてみるのが良いかと思います。家庭菜園初心者で自信が無い方は、60cm×60cmの半畝分でもOKです。(半畝でも、ミニトマトやナスなど、「実物野菜」なら1株分育てられます。うまく育てば、たくさん収穫できます!)

土を耕す(畑の作り方:その1)

ここからは、実際に畑の作り方を説明していきます。まずは土の作り方です。畑の土が硬くてカチカチだと、野菜がうまく育ちません。なので、クワ(平鍬や備中鍬など)やシャベルを使って土を耕します。

平鍬と備中鍬

私もそうですが、農具を使ったことが無い方は、鍬は扱いづらいと思うので、シャベルの方がいいかもしれません。土がカッチカチの場合は、水をまいたら少し耕しやすくなるかも。

掘り起こす深さは、だいたい20cm分くらいです。硬い土を深く掘り起こす場合は、鍬よりもシャベルの方が向いています。

耕している時に出てきた石や根っこの残骸などは取り除いておきます。(残しておくと、野菜が根を張りづらくなる。)

畝(ウネ)を立てる準備(畑の作り方:その2)

私が借りてる農園は、利用者ごとに区割りがされているので、この工程を設けましたが、庭での畑作りとか、スペースに制約が無い場合は、あまり必要ない工程かもしれません。

目盛りがついた「ならし板」で20cm×20cmを測り、畝の端に「マルチ留め」を立てます。(これが畝の一番端の目印になります。)

畝の端にマルチ留めを立てる
畝全体の四隅を決める

ならし板とは、幅7~8cm、長さ90cm、厚みが2cmくらいの普通の板に長さの目盛りを付けたものです。畑作りに絶対必要なものではありませんが、あれば、畝立てなどの時に重宝します。DIYが得意な方は、自作してみると良いかもしれません。

上でつけた目印に紐(タコ糸のような丈夫な紐)をかけます。(長さを測る目安にするため。)

マルチ留めに紐をかける

この紐に沿ってならし板で間隔を測り、畝になる位置にマルチ留めを立てます。

ならし板で間隔を測る
3つの畝、それぞれの位置を決める

通路になる部分の土を畝の上に盛り、高さを出します。(通路部分は平らにならしておきます。)ここである程度、畝の形を作っておくと、後の工程が楽になります。

土を畝の上に盛る
畝を高くする
通路は平らにならす

土に肥料を混ぜ込む:施肥(畑の作り方:その3)

盛った土を少しならしたら、上に肥料をまきます。肥料は、畑の作り方、土の作り方において、重要な部分です。肥料が多すぎると、病害虫が寄ってきやすくなりますし、野菜が苦くなったり、えぐみが出たりします。

かといって、肥料が少なすぎるのも問題です。栄養不足で茎や葉が大きくならず、収穫量も減ります。畑作りでは、「必要な時に、必要な分を、バランス良く施す」というのが、肥料の基本的な考え方です。

私の畑の野菜は全て、無農薬の有機栽培で育てるので、肥料も全て、有機質の肥料を使います。

肥料の分量は、畝2つ分が牛糞3リットル+鶏糞200cc、残りの1つは牛糞2リットル+鶏糞100ccの配合にします。

畝にまく肥料の分量

これが牛糞。この「ひしゃく(容量1リットル)」のすりきり1杯分が1リットル分です。牛糞は、肥料というよりも、土の水はけや、通気性を改善する「土壌改良材」として使うことが多いです。

有機肥料の牛糞

牛の糞を使った肥料といっても、完熟発酵させた牛糞堆肥なので、嫌な臭いはまったくありません。牛糞を野菜の堆肥として使う場合は、完熟発酵の牛糞堆肥を使うようにしましょう。未熟な牛糞堆肥を土に混ぜてしまうと、ガスなどが出て、野菜が生育不良になることがあります。

鶏糞はこちら。計量カップで必要な分量を量ります。鶏糞は、文字通り、鶏の糞を発酵させた肥料です。窒素やリン酸、カリウム、石灰など、野菜の栽培に必要な栄養をバランス良く含んでいます。追肥(読み方は「ついひ」です。)の時によく使う有機肥料です。

鶏糞

2つの肥料は、畝の上に撒く前に、バケツの中で混ぜておきます。(混ぜるのは「移植ごて」を使うと便利です。)

バケツの中で牛糞と鶏糞を混ぜる

バケツの中でよく混ぜたら、畝の上に撒きます。

肥料を畝の上に撒く

これらのように、栽培前に入れる肥料は、元肥(読み方は「もとごえ」です。)といいます。元肥は、栽培する野菜や、土の状態、その年の気候などによって、少しづつ違います。今回使った牛糞と鶏糞の他に、油かすという肥料もあります。

施す元肥の一応の目安としては、60cm×60cmの区画の場合、トマトやナス、ピーマンなど、実を収穫する野菜だと、1区画あたり牛糞1リットルと鶏糞50cc。

サニーレタスや、春菊、水菜など、葉物野菜だと、1区画あたりに牛糞堆肥1リットルと油かす100ccという配分になることが多いです。(区画が倍の60cm×120cmになれば、肥料も倍の量を施す。)

肥料と土を混ぜる時は、クワを振り下ろしてそのまま自然に上げるようにします。
その動作を何回か繰り返していると、だんだん混ざっていきます。無理に混ぜようとしないのがコツです。

肥料を畝に混ぜ込む

畝の形を整えてマルチを張る(畑の作り方:その4)

畑と土の作り方、最後の工程は、畝の作り方です。土を掘り起こしたり、肥料を混ぜ込んだりと、畑作りは力仕事が多いので大変ですが、ここからラストスパートです。畝をきれいに作って、種まき&植え付けに備えましょう。

ならし板で、畝の上と側面を平らにして形を整えます。
畝はきれいな台形型になるのがベストです。表面に凹凸があると雨水などがたまって良くないです。

畝をならし板で整える

畝の形を整えたら、上に「穴あき黒マルチ」をかぶせて、マルチ留めで固定します。今回は、葉物野菜の種をまくことが決まっていたので、穴あきマルチでしたが、苗などを植える場合は、穴無しのマルチを使います。

畝を黒マルチで覆う

マルチはピンと張るようにします。たるんでいると雨水がたまったりしますし、マルチの効果も十分発揮されません。

マルチはピンと張る

マルチの裾の部分は土をかぶせておきます。(裾が出ていると、風でめくれて破れることも。)

マルチの裾に土をかぶせる

これで畝立て完了です。土と肥料が馴染むまで2週間ほどおいておき、それから種まきです。牛糞や鶏糞などの有機肥料は、土中の微生物に分解されることで、野菜に吸収されます。その分解されるまでの期間が約2~3週間になります。冬はゆっくり分解されるので、約1ヶ月くらいかかります。

畝完成

動画版はこちら。

畑や畝、土の作り方(家庭菜園初心者でもできる) – YouTube